更年期とは、閉経する前後5年の約10年間に起こる体の変化です。
エストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンの分泌が急激に減少し、閉経に向かっていきます。
急激にエストロゲン減少するため、ココロとカラダにさまざまな症状が出て、女性にとって非常につらい時期とも言えるでしょう。
更年期のときに出る生理の変化について解説していきます。
更年期とは?
女性の一生は、「小児期」「思春期」「性成熟期」「更年期」「老年期」の5つの時期に分けられます。
「思春期」に月経がはじまり、「性成熟期」には妊娠出産が可能です。
「更年期」になると、女性ホルモンの分泌が減少し、徐々に閉経する方向へ女性の体が変化していきます。
更年期とは、閉経する前後5年の約10年間に起こる身体の変化です。
エストロゲンという女性ホルモンが急激に減少し、さまざまな症状が出ます。
月経に関しては、月経の量が増えたり減ったり、頻度も増えたり減ったりと頻度や量が一定ではなくなることが多いものです。
徐々に、月経がこなくなり、1年以上月経がこなかった時点で「閉経」したことが確認できます。
閉経した年齢を聞かれたときには、最終月経のあった月の時点での年齢を答えるようにしましょう。
血液検査で閉経を判定することも可能です。
FSH(卵胞刺激ホルモン)とE2(血中エストラジオール)というふたつのホルモンを血液検査でみていきます。
FSH(卵胞刺激ホルモン)の値が、40mlU以上、かつ、E2(血中エストラジオール)値が20pg/mL以下で閉経したと判断されるのです。
月経の変化だけでなく、女性ホルモンの減少からくる全身のさまざまな症状があらわれます。
日常生活に支障をきたすほど症状がひどい場合には、「更年期障害」と呼ばれます。
更年期のときにみられる症状
更年期のときにみられる症状について解説します。
月経不順
一般的には、月経が25~38日周期で訪れるのが健康的であると言われています。
そして、月経は短くて3日程度、だいたい7日くらいで終わることが多いものです。
しかし、更年期には、エストロゲンが急激に減少することにより、月経周期が乱れ、月経不順になります。
全員が月経の頻度が減り、量が減るとは限りません。
月経の頻度が多くなったり、月経の量が非常に多くなったりすることもあります。
数か月月経がなく過ごしていて、月経がきたらとても量が多く生理痛もひどかった、というケースもあるわけです。
前回の月経から24日以内に月経がくることを「頻発月経」、量が多い場合は、「過多月経」と呼びます。
頻発月経や過多月経が続く場合は、貧血になることもありますし、子宮筋腫や卵巣の病気であることもありますので、放置せずに婦人科を受診して病気でないことを確認したほうがよいです。
更年期の症状であれば、様子をみているうちに、徐々に月経がこなくなり、閉経に向かいます。
自律神経系症状(ほてり、ホットフラッシュ、めまい、動悸など)
更年期の代表的な症状として、ほてり、ホットフラッシュがあります。
女性ホルモンの急激な減少により、自律神経の働きが乱れ、血管が拡張してしまい、ほてりが起こったり、大量の汗がでたりするのです。
ほてりや汗は、顔から始まり、頭や胸のあたりに広がっていくことが多いというのも特徴でしょう。
顔に、ほてりや汗が出るので、周囲からみても気づかれやすく、ご本人としても複雑な気持ちになることが多いものです。
それ以外にも自律神経系の症状としては、めまいや動悸があります。
めまいや動悸もひどくなると、座っていることが難しくなり、日常生活や仕事に影響を及ぼすことのある症状のひとつです。
精神神経系症状(だるさ、不眠、不安、うつ、記憶力の低下など)
更年期のときにうつ病になった芸能人も多くいらっしゃいます。
女性ホルモンの急激な減少は、カラダだけでなく、ココロにも影響を与えるのです。
だるさ、不眠、不安感、気分の落ち込み(うつ)、記憶力の低下などの症状が現れます。
女性ホルモンの影響だけでなく、更年期にある自分、これから閉経に向かっていくことを受け止める、という女性にとって、大きなストレスがかかることも要因のひとつと言えるでしょう。
その他(骨粗鬆症、性交痛、外陰搔痒症、動脈硬化、高血圧など)
その他、閉経後には、エストロゲンが分泌されなくなりますので、それによりさまざまな影響があります。
エストロゲンは、骨の形成にかかわっています。
ですので、エストロゲンの分泌がなくなると、骨の形成がうまくいかなくなり、骨粗鬆症になりやすいのです。
また、性器の分泌物も減少し、うるおいがなくなってきます。
これにより、性交痛が起きやすくなったり、外陰部の乾燥がひどくなり、外陰搔痒症になったりすることもあるのです。
それ以外にも、エストロゲンは、コレステロールを下げる働きがあります。
男性よりも女性に高脂血症が少ないのは、これによるものです。
閉経後の女性では、エストロゲンの分泌がなくなるため、高脂血症になるリスクが高まります。
閉経後に、健康診断でコレステロールの値が高くなる方は非常に多いのです。
コレステロールが高くなると、血液がドロドロになり、血管の内側にコレステロールがこびりついて動脈硬化になります。
動脈硬化が進行すると、高血圧になったり、血管が詰まる病気(狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など)や血管が破れる病気(脳出血、解離性大動脈瘤など)になるリスクが高まったりしますので注意が必要です。
更年期かな?と思ったら婦人科で検査を受けて確かめましょう
ご紹介したような症状がある場合、更年期の可能性があります。
しかし、自己判断で更年期だと思っていたら、実は違う病気だったということもあるので注意が必要です。
「更年期かな?」と思ったら、定期的に婦人科にかかっていない人は、一度婦人科を受診してみるのがよいでしょう。
病気ではなく、更年期による症状であるとわかったら、セルフケアを実践したり、治療が必要であれば、治療を開始するのもよいです。
閉経を迎えたとしても、女性でなくなるわけではありません。
こういったホルモンバランスが変化する時期は、誰にでもやってくるもの、と受け止め、自分のココロとカラダを大切にしましょう。