大人の女性なら、生理が遅れると「あれ、妊娠かも」「もしかして更年期?」「何か悪い病気かもしれない」などとさまざまな不安がよぎる方が多いと思います。
生理が遅れているときに考えられる原因と対処法について、解説します。
「生理が遅れている」とは?
生理は、妊娠し、子どもを産むために必要なものです。
女性の体は、①生理、②卵胞期、③排卵期、④黄体期という4つの時期を繰り返して、赤ちゃんを妊娠するための準備を繰り返しています。
この①~④の周期が25日~38日周期であるのが正常です。
生理が終わると、卵胞ホルモン(エストロゲン)というホルモンが分泌され、子宮内膜を厚くします。
子宮内膜とは、受精卵が着床し、妊娠するための赤ちゃんのベッドのようなものです。
次に、排卵が起こります。
卵巣から卵子が排出され、卵管を通って子宮へ向かうのです。
この時期には、黄体ホルモン(プロゲステロン)が多く分泌され、子宮内膜はさらに厚くなり、受精卵が着床し妊娠できる状態を作り出します。
黄体期は約14日続き、この期間に妊娠しなかった場合は、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が減少して、子宮内膜がはがれ落ち、排出され、生理が起こる、というわけです。
このサイクルを繰り返して女性の体は、妊娠・出産することができる仕組みになっています。
生理が遅れているとは、何らかの原因により、このサイクルがうまく回らなくなっているということなのです。
ホルモンバランスの乱れなどがあり、生理不順になっている方は、生理周期が乱れ、生理がくるタイミングが不規則になる場合があります。
生理がこない状態を半年以上、放置してしまうと、元に戻すのが困難になることもあるため、注意が必要です。
「生理が遅れている」ときに考えられること
39日以上生理がこない場合は、「稀発月経」と呼ばれ、原因としては、大きくわけて、以下の4つが考えられます。
1.妊娠
2.緊張やストレスによるホルモンバランスの異常
3.過度なダイエット
4.婦人科系の病気
それぞれについて、解説します。
妊娠
妊娠すると、生理はこなくなります。
まずは、妊娠の可能性があるかどうか、振り返ってみましょう。
避妊具を付けていても、妊娠する確率はゼロではありません。
規則的に生理がきている人の場合は、7日以上遅れたら、市販の妊娠検査薬で妊娠しているかどうか確かめてみるとよいでしょう。
あまり早すぎても、妊娠検査薬で正しい結果が得られません。
妊娠検査薬は、尿の中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の濃度で妊娠しているか否かを判定しています。
このhCGの濃度は、妊娠5週くらいから高まりますので、28日周期の人の場合、生理がきた週を0週と数えていくと、ちょうど生理予定日の1週間後くらいか妊娠5週になるのです。
妊娠検査薬は、生理予定日の7日後以降に使用しましょう。
妊娠検査薬で陽性が出たら、なるべく早めに婦人科を受診して、超音波検査などで妊娠しているかどうか確認してもらう必要があります。
緊張・ストレスが高まっている
仕事や勉強などで緊張やストレスが高まっているときは、ホルモンバランスが乱れやすくなります。
強いストレスがかかるとストレスホルモン(副腎皮質ホルモン放出ホルモン)というものが分泌され、女性ホルモンの分泌を促すホルモンの分泌を抑制してしまうのです。
これにより、女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)や黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が減少してしまい、生理周期が乱れてしまいます。
緊張する出来事が終わった途端、生理がくるなんてことも、よく耳にします。
妊娠の可能性がない、もしくは、妊娠検査薬で検査しても陰性だった場合は、可能であれば休養をとるなどして、ストレスから離れ、リラックスする時間を設けることで自然と生理がやってくることもあります。
しかし、長い間様子をみるのはお勧めできません。
ストレスから離れて数日~1週間様子をみても、生理がこない場合には、婦人科を受診しましょう。
ダイエットのしすぎ
極端な食事制限や過度な運動は、女性ホルモンの分泌に影響を与えてしまいます。
脂肪細胞から分泌されるレプチンは、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌を促すホルモンです。
極端に痩せてしまい、体脂肪が12%を切ると生理が止まると言われています。
また、アスリート並みの運動をしている人も長期間生理がこないことがあります。
食事制限をして激しい運動をするため、エネルギー不足からくる無月経になるのです。
エネルギー不足や体脂肪が少なすぎると、女性ホルモンが少なくなり、無月経になります。
生理がこない状態が3か月以上続く場合は、婦人科の受診をして、生理を起こさせる薬を使うことが多いです。
無月経が続くと、骨粗鬆症になり、疲労骨折になることもあります。
エストロゲンが骨の形成に関わっているからです。
卵巣や脳の病気
卵巣の病気でホルモンバランスの乱れが起きたり、女性ホルモンを分泌するよう指示を出す脳下垂体から放出されるホルモンが少なくなっていたり、という原因で生理がこなくなることもあります。
卵巣や脳の病気による無月経の場合にも、まずは婦人科を受診して検査を受けるということで問題ありません。
血液検査や超音波検査などを行うと、さまざまなことがわかります。
卵巣や脳の病気ではないかと心配な人は、まず婦人科で相談してみましょう。
生理が遅れている場合いつまで様子をみてよい?
・妊娠の可能性がある場合は生理予定日から1週間後以降に妊娠検査薬で検査しましょう。
・3か月以上生理が来ない場合には婦人科を受診して検査を受けたほうがよいです。
・3か月以上生理がこない場合には、卵巣の病気以外にも、下垂体腫瘍など、脳の病気である可能性もあります。速やかにまず婦人科を受診しましょう。
・婦人科を受診して異常がなければ、ホルモンバランスの乱れの可能性が高いです。ストレスを緩和し、冷えを予防することで正常な生理周期に戻ることもあります。
3か月以上生理が遅れているときには婦人科を受診しましょう
妊娠の可能性がある場合を除き、様子を見る最長期間は3か月です。
妊娠の可能性がある場合や、ストレスを緩和しても改善がみられない場合は、3か月を待たずとも、もっと早く婦人科を受診したほうが早く原因がわかります。
血液検査などでホルモンの状態を確認することもできますし、超音波検査で子宮や卵巣などの病気を早期発見することもできます。
生理がこないほうが楽だから、と放置してしまうと、将来妊娠出産をすることができなくなってしまう可能性がありますので、生理がこない場合には、放置せず対処しましょう。