毎月やってくる生理。
生理痛がひどい人にとってはとても憂鬱な時期です。
少しでも生理痛を楽にするための対処法をご紹介します。
生理痛とは
生理痛とは、なぜ起こるかご存知ですか?
女性が赤ちゃんを妊娠するための体の仕組みとして、「月経周期」というものがあります。
女性の体は、①生理、②卵胞期、③排卵期、④黄体期という4つの時期を繰り返して、赤ちゃんを妊娠するための準備を繰り返しています。
この①~④の周期が25日~38日周期であるのが正常です。
生理が終わると、卵胞ホルモン(エストロゲン)というホルモンが分泌され、子宮内膜を厚くします。
次に、排卵が起こります。
卵巣から卵子が排出され、卵管を通って子宮へ向かうのです。
この時期には、黄体ホルモン(プロゲステロン)が多く分泌され、子宮内膜はさらに厚くなり、受精卵が着床し妊娠できる状態を作り出します。
生理が起こるときには、赤ちゃんのベッドとなる子宮内膜が体の外に排出されます。
このときに、プロスタグランジンという痛みのもとになる物質が分泌され、子宮を収縮させて子宮内膜を体の外に出すのです。
プロスタグランジンの分泌が多すぎると、子宮の収縮が強くなってしまい、生理痛がひどくなります。
生理痛がひどくなる原因
生理痛が全くない方もいれば、日常生活に支障をきたすほどひどい方もいます。
学校や会社にも行くことができないほど生理痛がひどい場合は、「月経困難症」と呼ばれます。
「月経困難症」の場合は、下腹部痛だけでなく、頭痛、腰痛、吐き気、めまいなどの症状も伴うことが多いものです。
また、下痢気味になる方もいます。
出産経験がなく子宮の入口が狭い、プロスタグランジンの分泌が多い
出産経験がない方の場合では、子宮の入口がとても狭く、それが生理痛をひどくする要因になっていることがあります。
このタイプの場合には、出産後には生理痛がなくなった、軽くなったという方が多いものです。
また、体質的にプロスタグランジンの分泌が多い方は、子宮の収縮が強くなり、生理痛が出やすいのです。
婦人科系の病気
子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科系の病気により、急に生理の量が増えたり、生理痛がひどくなったりすることがあります。
若いころに婦人科で診てもらって異常がなく、生理痛の程度や生理の量に変化がない場合には、それほど心配はいりませんが、年齢を重ねてきてから生理痛がひどくなったり、生理の量が増えたり、血の塊のようなものが出るようになったりした場合には、早めに婦人科で診察を受けることが大切です。
子宮筋腫や子宮内膜症の場合には、生理の量も増えることが多いので、貧血になってしまうこともあります。
また、子宮筋腫や子宮内膜症は、放置しても治りません。
なるべく早めに婦人科で治療を始めたほうが早く楽になります。
生理痛を軽くするためのセルフケア
女性である限り、生理痛とは付き合っていかなければなりません。
少しでも楽に快適に生活するために、生理痛を軽くするためのセルフケアについてご紹介します。
生理中はお腹や腰を冷やさない
生理痛がひどくなる原因のひとつとして、「冷え」があります。
お腹が冷えると、子宮の収縮が強くなりやすく、生理痛がひどくなってしまうのです。
お腹だけでなく、腰も冷やさないことが大切です。
冬の寒い時期はもちろん、夏も注意が必要です。
薄着でエアコンの効いた部屋で直接風に当たってしまうと、かなり体が冷えます。
特に生理中は、腰を含めたお腹まわりを温かくすることに努めましょう。
ひざかけを使ったり、薄手のものでも構いませんので腹巻を使ったり、いろいろな方法があります。
冬の寒い時期には、下着の上からカイロを貼るのもおすすめです。
生理痛がひどいときには、お腹や腰を温めるだけでも、痛みがスーッとよくなることもあります。
アロマの活用
アロマテラピーとは、「植物から抽出した香り成分である精油(エッセンシャルオイル)を使って美や健康に役立てていく自然療法」です。
生理痛に効果がある精油は、ラベンダー、クラリセージ、イランイラン、ゼラニウム、ローズオットーなどです。
ブレンドして使ってもよいでしょう。
芳香浴
アロマポットやアロマディフューザーを使って部屋に香り成分を拡散させる「芳香浴」という方法が一般的な方法でしょう。
職場など外出先でアロマを使いたいときには、ティッシュを小さく折り畳んだものに精油を数滴垂らしタオルなどに挟んで持ち歩き香りを楽しむという方法もあります。
吸入法
洗面器やマグカップなどの容器に熱湯を入れ、そこに精油を数滴垂らし、蒸気を吸い込む方法です。
目にしみることがあるので、目を閉じて吸い込みましょう。
湿布法
熱湯に精油を数滴垂らします。
タオルを縦に二つ折りにして端を持ち、タオルをたるませて精油入りの熱湯に入れます。
タオルの端を持って絞る方法もありますが、やりにくい場合には、やけどをしないように厚手のゴム手袋をしてタオルを絞るとよいです。
精油は水に溶けにくいので、タオルをお湯につけた面に精油が付着しますので、その面を内側にしてタオルを畳みましょう。
絞ったタオルを横になった姿勢で下腹部や腰など痛みのある場所に当て、上から乾いたタオルで覆い、5分~10分程度そのまま過ごします。
タオルが冷たくなる前に、終了しましょう。
トリートメント法
少し本格的な方法としては、グレープシードオイルやホホバオイルなどの「キャリアオイル」と言われるものに精油を数滴混ぜて、下腹部に塗る「アロマトリートメント」という方法もあります。
精油の香り成分が皮膚から体に吸収されますので、より生理痛の緩和に効果的です。
肌が敏感な人やアレルギー体質の方は、腕の内側に少量塗って、皮膚の赤みやかゆみ、痛みが出ないか試してから下腹部に塗るようにしましょう。
もし、赤みやかゆみ、痛みがでてしまった場合には、ただちに石鹸を使い、オイルを落とし、大量の水で洗い流しましょう。
精油を直接肌に触れさせてはいけません。
必ずキャリアオイルに混ぜて皮膚に塗りましょう。
いきなり自分で安全に行えるか心配な方は、アロマセラピストの施術を受けてみるのもおすすめです。
以下のサイトで全国のアロマテラピーサロンを検索できます。
EPARKりらく&エステ
生理中こそ入浴しよう
昔は、生理中は入浴しないように、と親から言われていた方も多いのではないでしょうか。
膣内に雑菌が入りやすいのではないか、お湯が生理の血で汚れるのではないかなどの理由から、生理中は入浴しない、というご家庭が多かったのでしょう。
しかし、生理中は、体を冷やさないことが大切です。
入浴して体を温めると生理痛の予防や緩和に効果があります。
雑菌が入るのではないか、とご心配な方もいらっしゃるかもしれません。
その日に浴槽を洗剤で掃除してお風呂を沸かしたのであれば、心配はいりません。
家族がいらっしゃる方は、一番風呂に入るか、最後に自分のためにお湯を張りなおすことができるとよいでしょう。
実は、浴槽に入っているときには、水圧がかかるため、生理の血は流れでないのです。
どうしても入浴することに抵抗がある場合やわざわざお湯を張り替えるのはちょっと、という方は、熱めのシャワーを下腹部や腰に数分当てる方法でもかまいません。
また、お湯につかったときに、ずきずきとした頭痛が起こったり、生理の量が非常に多く塊が出てきてたりする場合には、無理して湯につからなくてもよいです。
短時間にとどめるか、熱めのシャワーで対応しましょう。
生理痛によい食べ物
生理痛によいとされる食べ物は、体を温める食材です。
一般的に、きゅうりやトマトなどの夏野菜は体を冷やすと言われています。
根菜類は、体を温めてくれて冷えを予防してくれます。
特にショウガは体を温める食材として有名です。
冷たい飲み物や食べ物よりは、温かい飲み物や食べ物と口にする方が、体の中から温めることができるのでお勧めです。
夏はどうしても冷たい飲み物を飲んでしまいがちですが、なるべく常温のものにする方がよいでしょう。
胃腸から体を冷やすことになってしまいます。
良質なたんぱく質を含む豆腐、豆乳、味噌などの大豆製品や、鶏肉・豚肉・牛肉も生理痛がひどいときに体の調子やホルモンバランスを整えるためによい食材です。
特に、大豆製品は植物のエストロゲンと呼ばれるくらい女性ホルモンに似た物質です。
ホルモンバランスを整えるために、おすすめです。
生理痛のとき痛み止めを使ってもよい
生理痛がひどい場合は、痛み止めを使いましょう。
痛み止めは体によくないと我慢してしまう方が多いかもしれません。
しかし、生理は毎月やってきますし、仕事や勉強に影響を与えてしまうこともあります。
我慢しすぎずに、上手に痛み止めを使うのも大切なセルフケアです。
生理の1日目~3日目で痛みがひどいときだけ使うのであれば、それほど心配いりません。
ただし、用法用量を守ることは大切です。
ロキソニンなど、胃を荒らしやすい痛み止めもありますので、胃が弱い方は食後に使う、もしくは、チーズなど何か口にしてから痛み止めを内服するようにしたほうがよいでしょう。
毎月生理痛がひどくて痛み止めを複数回使う場合には、婦人科を受診して検査を受けた方が安心です。
痛み止めにも種類がありますので、より効果がでやすいタイプの痛み止めをもらうことができるでしょう。
病院でロキソニンを処方してもらう場合に、胃薬も一緒に出してもらうという方法もありますし、痛み止めだけで対処が難しい場合には、低用量ピルなどを使って生理痛を緩和するという方法もあります。
自分でできるケアをして生理痛を軽くしましょう
生理痛があるときに、自分でできるケアについてご紹介してきました。
少し手間がかかる方法もありますが、生理のときくらいは自分の体に向き合い、大切にしてあげたいものです。
自分でできるケアをしても生理痛がひどくて生活に支障をきたす場合には、婦人科に相談しましょう。
女性であるから毎月痛みをただひたすら我慢するというのは、もったいないことです。
生理痛を軽くするための方法はたくさんあります。
自分にあった方法を探していきましょう。