子を持つ親なら、子どもの身の安全は常に気になるもの。しかし、子どもを狙った性犯罪はいまだに後を絶ちません。
子どもが自分自身を守れるようになるためには、性教育によって事前に知識を身につけておくことが大切です。「とはいえ、なにから教えたらいいのか分からない…」という方は、幼い時期から理解しやすい「プライベートゾーン」について話すことから始めてみては。
そこで今回は、性教育の導入にも最適なプライベートゾーンについてお伝えします。具体的な伝え方や、おさえておきたいポイントもあわせてチェックしておきましょう。
性教育ってみんなやってるの?
現在、多くの小学校で子どもたちに性教育をしています。なかには、小学1年生から指導している学校も。かつては「高学年から」といったイメージのある性教育ですが、教育現場では高学年よりも早い段階から取り組んでいるケースが多いのが現状です。
その一方、株式会社ネクストビートが実施したアンケートでは、家庭での性教育を「実施している」と回答した家庭は約2割という結果に。その理由として最も多かったのは、「どう教えていいかわからない」でした。
そのほか、「うまく伝えられる自信がない」「タイミングがつかめない」といった理由も。性教育の必要性は感じているものの、その手段が分からずに踏み込めていない家庭の多さがうかがえます。
では、性教育を実施している家庭では、子どもが何歳のときに始めたのでしょうか。この調査結果では、「4歳」と「7~8歳」がボリュームゾーンでした。次いで多かったのは、「2歳」と「3歳」です。こうみると、幼児期から性教育をしている家庭が多いといえるでしょう。
プライベートゾーンとは?
「プライベートゾーン」はアメリカで生まれた言葉で、「他人に見せても触らせてもいけない、性に関係のある、自分の体の大切な場所」という意味。具体的には、「水着で隠れる場所と口」と伝えるとイメージしやすいでしょう。
小さなお子さんでも理解しやすい内容なので、未就学のうちから教えることもできます。「プライベートゾーン」という単語をそのまま伝えるのではなく、「その人だけの場所」などと言い換えてみてください。パパとママの体の違いや、男女の水着のデザインについて聞かれたときに、理由を添えて伝えるのもいいですね。
プライベートゾーンで教えたい4つのポイント
プライベートゾーンの意味を教えたら、その大切さと性犯罪から身を守る手段を伝えましょう。その際のポイントは、以下の4つです。
・自分の体は大切なものである
・とくにプライベートゾーンは、人に見せない・触らせない
・他の人のプライベートゾーンも見ない・触らない
・「イヤだ」と感じたらきっぱりと断る
まずは体の大切さとともに、自分で身を守る必要性を教えましょう。なかでもプライベートゾーンは、自分だけでなく相手にとっても大切な場所です。「見せて」「触らせて」と言われても断る、そして相手にも言わないと約束しましょう。
とくに小さな子どもは、遊びの一環として友達やきょうだいと性器を見せ合ったり、触り合ったりすることも珍しくありません。しかし、たとえ面白半分でもプライベートゾーンは守るべき場所。「そこは大切な場所だから、そんなことをしないで」と伝えましょう。
いいタッチ、悪いタッチを知ろう
プライベートゾーンはお互いに触ってはいけませんが、必ずしも「触る=悪いこと」というわけではありません。触れ方や状況によっては、嬉しい気持ちにも嫌な気持ちにもなります。そこで、「いいタッチ」と「悪いタッチ」があることも教えてあげましょう。
触れることで嬉しい気持ちになるのが、いいタッチ。「お母さんとぎゅってすると安心するよね」「友達と手をつないで歩くとワクワクするよね」など、具体的なシーンを挙げて説明するとイメージしやすいでしょう。
そして、嫌な気持ちや恐怖、痛み、恥ずかしさを感じさせるのが悪いタッチ。「お兄ちゃんに叩かれたら痛いよね」「知らない人に突然腕を組まれたら嫌だよね」と挙げたうえで、「周りの人に悪いタッチをしないようにしようね」と伝えましょう。
また、悪いタッチをされて我慢する必要はありません。「その場でやめてって言っていいんだよ」「学校で嫌なことがあったら、先生やお母さんに教えてね」と伝えておくと安心です。自分の気持ちを言えたあとは、「教えてくれてありがとう」「自分で言えてすごいね」と伝えることも大切ですよ。
子どもが自分自身で性犯罪から身を守れる知識を
性教育で得た知識があれば、いざというときに「これはおかしいことだ」「しっかりと断るべきだ」と自分で判断できます。そして、適切な断り方と逃げる勇気を身に付けることも大切です。友達だけでなく見知らぬ人に声をかけられる可能性があること、なにかあったらすぐに逃げること、周囲に助けを求めることの必要性も合わせて伝えておきましょう。
なかでも性犯罪で狙われやすいのが、今回ご紹介したプライベートゾーンです。まずは自分のプライベートゾーンの場所を教え、他の人に見せない、触らせないことを話し合いましょう。
ただし、「汚いからダメ」「そこはいやらしい場所」といった言葉を使うと、ネガティブなイメージが定着してしまいます。「プライベートゾーンは大切な場所だから」という理由を添えて、自分で守る意味に気づいてもらえるとベストですね。
子どもを狙った性犯罪は、年齢や性別を問わず全国各地で発生しています。防犯対策において、早すぎるということはありません。今のお子さんの年齢に合わせた説明をして、性犯罪から自分を守る力を高めておきましょう。